『バッキンガム宮殿の日常生活』の訳文の問題一覧

『バッキンガム宮殿の日常生活』(新倉真由美訳、文園社)を原本『Buckingham Palace sous Elisabeth II』(Bertrand Meyer-Stabley著、Hachette Littératures)と照合した結果見つかった、訳本と原本で内容が異なる個所の一覧を下に載せます。誤訳一覧と呼んでも構いません。ただし、誤解を招く可能性が高い、印刷段階での誤植の可能性もあるなど、厳密には誤訳でないかも知れない個所も、この一覧に含まれる可能性があります。

比較範囲の狭さ

馴染みがない分野の長大な『バッキンガム宮殿の日常生活』を私が照合できるのは、ごく一部に過ぎません。『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』や『ヌレエフとの密なる時』はすべて読み、原本も斜め読みくらいはしましたが、『バッキンガム』では新倉本も原本も読まないままの文が大量に残るでしょう。私が見つけた誤訳が『ヌレエフ』や『密なる時』より少ないからといって、『バッキンガム』に存在する誤訳が少ないと思わないでください。

序と第1章の大部分だけは、原本購入前から英アマゾンで公開されていた原文をもとに丹念に読みました。そのほぼ全ページに誤訳がいくつも見つかることから、他の部分の品質もおのずと想像がつきます。

問題の一覧

P.22-23 なくてもいい報道に毎日向き合う女王
P.23 ダイアナ妃死後の混乱は主に言いたいことではない
P.24 内務省の統治は無関係
P.24 普通でないと述べた文が正反対に
第1章 ガイドに従って
P.41 訪問者の進路を決める入口
P.41 女王の在宅を示す旗は690枚もない
P.41 個人の例でなく一般論としての入口使用
P.41 説明している出入口は門でなく戸口
レッドカーペット
P.42 最初の絨毯と次の絨毯を中庭が隔てる
P.43 中途半端に終わった拝謁シミュレーション
P.43-44 勘に頼らざるを得ない宮殿内部
P.44 鳥瞰図で地面すれすれを見る?
P.44 ルートが複雑なのは宮殿の外側でなく内側
P.44 場所によって呼び名が違う最上階
P.44 大理石の広間に大理石がない?
P.45 弓の間に展示された食器がテーブルに化ける
P.45 1844の間という名の由来はロシア皇帝の滞在
P.45 カーナーヴォンの間はベルギー・スイートの一部
P.45 消されたベルギー・スイート
贅沢、静寂、くつろぎ…
P.46 一番年下でないアンドルー
P.46 バッキンガム・パレス・ロードが廊下だという決めつけ
P.46 効率が良くなった連絡方法
P.47 四千よりは少ない数の照明
P.47 2本の廊下の名前と用途
P.47 外部からの訪問者も廊下を通る
P.48 主廊下にただの布は飾られない
P.48 廊下の家具の様子が召使の境遇に
P.48 意外と贅沢な高級職員執務室
王家の邸宅
P.48-49 女王夫妻の私室の様子は関係者が教えた
P.49 私室と謁見の間の比較だということの意味
P.49 軍配が上がったのは青の客間
P.50 メンデルスゾーンとアルバートのオルガン競演
P.50 開放されるのはステート・ルームを仕切る扉
P.50 ステート・ルームを訪問するのは読者
P.50 シャンデリア制作者に化けたピアニスト
P.51 「威風堂々」が似合う王座の間
P.51 緑の客間の歴史と位置
P.52 デービッド・ヒックスとマウントバッテン卿は別人
P.52 トイレで流す水からうかがえる宮殿らしさ
P.53 陰気な外観の一般事務室
P.53 見取り図で防げる位置関係の間違い
庭園
P.53 最高級の庭園と比べた上での少しの失望
P.53 庭園の贅沢さは広さにある
P.53 何人もいる園芸好きの王族
P.55 高名なバラ、ピースの描写
P.55 記念植樹あれこれ
P.55 池が原因で生まれた喜劇
P.56 公式のパーティにふさわしい色と本数の花
第2章 女王の一日
P.69 ヴァネッサ・レッドグレーヴは勲章制に恩を着せていない
P.71 ロイズは王室儀式中止保険を提供する
P.73 王室は任命の実権を持たない
P.80 サッチャー首相時代にフランスでアルゼンチンが戦争?
第4章 女王陛下に仕えて
P.105 職員に尊敬されるのはダイアナでなくチャールズ
P.107 実態と合わない肩書への冷やかし
P.107-108 嘲笑の対象ではない白鳥担当者
P.108 職名のからかいが職員や絵画の侮蔑に激化
第5章 饗宴
P.127 議会が開会式で王権に蹴散らされる新倉本
第6章 王室の馬と犬
P.133 ラテン語の名文句を強引にフランス語扱い
P.139 見落とされたロイヤル・ミューズ統率者の存在
第7章 旅
P.147 イギリス皇太子とチェスター伯は同一人物
第9章 セレモニー
P.187 エリザベス2世の前に女王がいないような言い方
P.187 南極の海峡に付いたチャールズ皇太子の名
P.191 夫に従う誓いを強制されるダイアナというイメージ
P.191 ロイヤル・ヨットはアンティル号ではない
P.193 王冠の真珠をネックレスに使い回し?
P.196 礼儀作法の重圧ばかりを書き立てるつもりはない原著者
第10章 王室御用達
P.208 会社が皇太后の帽子について放言したのではない
第12章 肖像画の中で
P.239 絵画のリアリズムが容姿叩きに成り下がる
P.239 皇太后論の自由すぎる創作
第13章 宮殿の子どもたち
P.272 大外れにされたチャールズ皇太子再婚時期の予測
第15章 プリンス・オブ・ウェールズ
P.296 なかったことにされたダイアナのマスコミ操作
P.297 良好な親子関係に貢献したチャールズ皇太子
第16章 ダイアナ
P.298 遅いとはいえダイアナへの追悼を公にした女王
P.298 人間性を証明したのはダイアナでなくエリザベス

更新履歴

2014/12/14
英アマゾンでの原文公開範囲の変更に伴い、比較範囲を変更
2014/12/26
原書購入でほぼ全文を比較可能になったため、比較範囲を具体的に挙げるのをやめる
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