『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』の改題!?

あまりにも今ごろ「バレリーナへの道」に関わる話ですみません。小さいといえば小さいことですが、触れないまま流すのも後々すっきりしなさそうなので。

2種類の表紙の写真

ヌレエフ特集付き「バレリーナへの道」の出版本案内ページに『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』があります。当然ですね。私はこの雑誌でヌレエフ特集をすると知った時、「ヌレエフのアニバーサリーに乗じて自分の本の宣伝か」と普通に思いましたから。だから最初は「やっぱり」としか思わなかったのですが、よく見ると表紙が変なことに最近気が付きました。

  • 私の手元にある『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』の表紙は、文園社のサイトやamazonで見られるものと同じ。赤地の上部に白地があり、そこに大きく「ヌレエフ」とあり、その下に小さく「20世紀バレエの神髄 光と影」。
  • 「バレリーナへの道」巻末にある『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、写真以外がすべて白地。その上部に大きく「ヌレエフ」、続いてすぐに少しだけ小さい字で「光と影」。

デザインばかりか題名まで変わっています。

流通している副題への不満

考えてみれば、「20世紀バレエの神髄 光と影」はわけが分からない副題だと思ったことはあります。いくらなんでもヌレエフを「20世紀バレエの神髄」と呼ぶのは大げさ過ぎます。仮に20世紀バレエの神髄が存在するとしても、この本に載っているとは思えません。バランシンもマーサ・グレアムも「ヌレエフに作品を提供した」程度の説明で、20世紀のバレエが分かるのかと。だから「20世紀バレエの神髄」は誇大広告的に見え、消え去っても惜しくありません。

原著者が「光と影」に込めた意味

この本での「光と影」という表現の出どころは、原著者メイエ=スタブレ(Meyer-Stabley)が第13章に付けた名前"Le soleil et les ombres"(太陽と影)。ヌレエフのさまざまな側面のうち、1章にするほど分量がない題材を集めた章です。何が光で何が影かは断言しにくいのですが、1つ確かなのは、"celui causé par l'ombre du KGB"(KGBの影が引き起こしたストレス)という言い方をされているKGBは影だということ。私の推測ではこうなります。

13章の内容のうち、KGBの部分以外すべて。ヌレエフの芸術、衣装へのこだわり、忙しい日常生活
KGBやFBIが原因の恐怖

「ヌレエフ 光と影」が表すように見えるもの

しかし、この本のタイトルが『ヌレエフ 光と影』で、何も知らずに読んだ後に「光と影とはどういうことか」と聞かれたら、私の答えは多分違うでしょう。

ヌレエフの輝かしい成功と才能
ヌレエフの最悪な性格

そもそもメイエ=スタブレ自身が、ヌレエフの栄光ともめごとに大いに興味を持っています。それでもメイエ=スタブレは、本で読んだことから逸脱しすぎないように気を付けるくらいのことはしたと思います。でも、新倉真由美は不注意と曲解と改変を繰り返して、自分の「天才だが鼻持ちならない男」なヌレエフ像を強調しましたからね。読み終わった後にタイトルを読み返したら、新倉真由美版ヌレエフのそういう二面性を改めて実感すると思います。

原本に副題はありませんが、もし副題を付けるなら、「20世紀バレエの神髄 光と影」より「光と影」のほうがこの本に合うと思います。でもその分、私はタイトルを見ると苦い気持ちになります。

中身はそのまま?

それにこの本、表紙が変わってもページ数は同じですね。ということは、新装版が本当に出版されたとしても、中身は変わらないような気がします。いいんですか? 「バランシンは晩年ニューヨークにやって来た」だの「マリンスキー劇場は後にワガノワ・アカデミーになった」だのと書かれた本を野放しにするなんて、バレエ通を自認していそうな出版社にとっては死ぬほど恥ずかしそうなものですが。

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