「ヴァレンティノ」におけるヌレエフのユーモア

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.240:
極上のユーモア、露骨なときもあったが、時おり呟くように言っていた微妙な冗談。ケン・ラッセルも気づかなかったかもしれないが、非常に刺激的だった。
Telperion訳:
高度なユーモアだ。時には明白で場面に即しており、時にはあまりに繊細なため、ケン・ラッセルとその意図からうまく逃れたのかもしれない。このことに我々は嬉しくなる。
原本『Noureev』:
Un humour supérieur : parfois évident, en situation, parfois si subtil qu'il pourrait bien avoir échappé à Ken Russell et à ses intentions - ce qui aiguise notre plaisir.

舞踏批評家シルヴィ・ド・ニュサックによる映画「ヴァレンティノ」のヌレエフ評より。新倉真由美は原文の"si subtil"(あまりにも繊細な)を「呟くように言っていた微妙な」としたようです。つまり、ヌレエフ演じるヴァレンティノが小声で「布団がふっとんだ」とか何とかジョークを言っており、監督ケン・ラッセルはそれに気づかなかったらしいと。しかし、視聴者に内容が聞こえる程度には大きな声で主演男優が喋っているのに気づかない監督って、あまりに注意力散漫すぎて私にはどうも信じられません。そもそも、原文にあるhumourが小噺とは限りません。ヌレエフのちょっとした仕草や表情がユーモラスだが、それはラッセルの指図ではないというほうが、ありそうに思えます。

本当は映画「ヴァレンティノ」を自分で見て確かめれば、ミスだと断定する記事として書けたかもしれません。しかし残念ながらそこまでする根性はないので、単に「訳本の内容には納得がいかない」ととどめるのみにします。

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