用途が不明確な手紙に署名? (続)

『密なる時』P.78:
そう、ヌレエフと私の間では数々の侮辱の言葉が飛び交い戦争が勃発したことは否めない。がしかし、この悪趣味極まりない裏切り者のメッセージにどうして踊らされてしまったのだろう。パリ・オペラ座におけるヌレエフの運営方針を攻撃したこの手紙は、日刊紙に送られて記事になるかも知れない。それも決してちっぽけな新聞ではないのだ。
プティ原本:
Oui, comment malgré les insultes et la guerre déclarée entre Noureev et moi, ai-je pu me laisser aller à participer à ce message perfide et de mauvais goût, envoyé pour être imprimé à un quotidien, et pas le moindre, attaquant la gestion de Noureev à l'Opéra de Paris ?
Telperion訳:
そう、ヌレエフと私の間で宣言された侮辱と戦争にかかわらず、この不実で悪趣味で、日刊紙、それも大手で印刷されるために発送され、パリ・オペラ座でのヌレエフの采配を攻撃するメッセージに参加するように流されることが、どうして私にできたのか?

記事「用途が不明確な手紙に署名?」で引用した部分の次の文。

"ce messege"(このメッセージ)、つまりベジャールとプティの連名公開書簡を修飾する語句は次のとおり。

  1. perfide(裏切りの)
  2. de mauvais goût(悪趣味な)
  3. envoyé pour être imprimé à un quotidien(日刊紙で印刷されるために発送された)
  4. attaquant la gestion de Noureev à l'Opéra de Paris(パリ・オペラ座でのヌレエフの采配を攻撃する)

「印刷されるために発送された」とは事実の断定であり、「送られて記事になるかも知れない」というあいまいさはない。前の文と同じく、この訳文のプティも手紙の利用法を知らないかのような口ぶりだが。

プティの批判対象の紛らわしさ

新倉真由美訳の「この悪趣味極まりない裏切り者のメッセージ」を読むと、プティがベジャールを悪趣味極まりない裏切り者と呼んでいるようにも見える。しかし"de mauvais goût"(悪趣味な)やperfide(裏切りの)は手紙を形容する言葉であり、人物を指してはいない。いくらプティが責任の大半をベジャールに押し付けているとはいっても、ベジャールを直接罵倒はしていない。

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