残ったのは意図的

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.166:
帰り道、高地にある別荘に戻るため一群は道をよじ登っていました。ルドルフは夢中だったので、狙いをつけた少年と共に暗闇の中に取り残されてしまったのです。
Telperion訳:
帰り道、一行が高い場所にある別荘に戻り、何百歩もよじ登った一方、ルドルフは桟橋にとどまりました。恐らく、欲しくてたまらない若者とともに暗闇の中に長居することを考えたのでしょう。
原本『Noureev』:
Au retour, tandis que le group regagnait la villa perchée et grimpait les centaines de marches, Rudolf resta sur la jetée dans l'idée sans doute de s'attarder dans l'obscurité avec le garçon convoité.

フランコ・ゼッフィレッリに招待された客たちが夕食をレストランで取った後のことを客の一人が語る。

この証人は、ヌレエフが他の客とともに別荘に帰らなかったのは意図的だと見なしている。次の言葉選びからそのことが分かる。

  • ヌレエフがしたという動詞resterは自動詞「とどまる、残る」であり、「取り残される」ではない。
  • 「欲しい相手と暗闇の中に長居する」(s'attarder dans l'obscurité avec le garçon convoité)は、"dans l'idée de ~"(~という考えで)の後に来る。つまり、長居するのはヌレエフが考えたかもしれないこと。

相手が少年とは限らない

フランス語のgarçonは少年、青年のどちらも指す。新倉真由美はgarçonを「少年」と訳す癖があり、それが正しいかどうかは判別できないことが多い。一般論としては、ヌレエフが『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』から受ける印象ほど未成年好みだったとは限らないと言っておく。

この文に出るgarçonは、一人でゼッフィレッリに招かれていると思われる。もし保護者がついていたら、ヌレエフと二人きりにさせるとも、他の客と別荘に帰らなかったのに気づかないとも思えない。だからこのgarçonは青年だと思う。

2014/2/16
文法説明を少し増やす
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