いちゃついたのは一晩中でなくパーティの間

『ヌレエフ』P.166:
ルドルフは一晩中招待客の一人と人目も憚らずいちゃついていました。
Telperion訳:
しかしパーティの間中、ルドルフは客の1人と大っぴらにいちゃついていました。
原本『Noureev』:
Mais toute la soirée Rudolf flirta ouvertement avec un invité.

フランコ・ゼッフィレッリがヌレエフを含めた招待客の夕食をレストランで手配したときの目撃談。

「夜」でなく「パーティ」と解釈するべき理由

問題なのは、"toute la soirée"( soirée全体)の解釈。仏和辞書にあるsoiréeの意味は次の3つ。

  1. 日没から就寝までの夜
  2. 夜のパーティ
  3. 夜の公演

この場合、夜の公演は問題外なので、単なる夜か、それとも夜のパーティかのどちらかになる。次の理由から、ここでは「パーティ」だと推測できる。

  1. ゼッフィレッリが企画したのは単なる夕食会であり、オールナイトなパーティではない。
  2. この後、他の客たちはゼッフィレッリの別荘に帰る一方、ヌレエフは暗闇に残った。一晩経った後なら、もう明るいはず。
  3. さらにその後、すでに戸締りがすんだ別荘にヌレエフが遅れて帰ったことが語られる。別荘に入れなかったヌレエフは怒って大暴れし、ゼッフィレッリに別荘から追い出される。だからこの目撃者がヌレエフを一晩中観察できたとは思えない。

たとえsoiréeがパーティでなく夜の時間を指すとしても、「soirée全体」と「一晩中」は同じでないだろう。先ほど書いたように、soiréeは就寝前に限定されるが、日本語の「一晩中」は夜明けまでを指すことが多いのだから。

談話主はゼッフィレッリの客だった

訳本ではこの話をしたのが誰かをまったく書いていないが、原本には談話の前にこう書かれている。

Meyer-Stabley原本:
L'un des invités, lui, s'en souvient :
Telperion訳:
客の1人がそのことを覚えている。

この人物はゼッフィレッリと共に行動する立場なので、ヌレエフのそばに一晩中居続けはしなかっただろうと推測できる。

更新履歴

2016/5/13
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