「ヌレエフと仲間たち」プログラムの特徴

『密なる時』P.55:
スターである彼と彼を利用し引き立てるダンサーたちの小さなグループ、斬新な作品の中ですべては滞りなく進み、確実に期待どおりの大成功を収めていた。
プティ原本:
Lui la star et un petit groupe de bons danseurs pour le mettre en valeur, le tout servi dans une suite chorégraphique hybride, mais qui déclenchait assurément le triomphe attendu.
Telperion訳:
スターである彼と、彼をひき立てる優れたダンサーの少人数グループ、すべては一連の振付で差し出され、各種取り混ぜてはいるが、期待された勝利を確実に引き出した。

ヌレエフのグループ公演「ヌレエフと仲間たち(Nureyev and Friends)」について。

文中のhybrideは「斬新な」でなく「あいのこの、折衷の」という意味。この本では具体的に書いていないが、「ヌレエフと仲間たち」はブルノンヴィルやプティパからバランシンやベジャールに至るまで、様々な時代の振付家の作品を取り上げているので、そのことを指すのだろう。hybrideと次の「期待された勝利を確実に引き出した(qui déclenchait assurément le triomphe attendu)」の間にmais(しかし)があるのは、プティにはそういうプログラミングが物足りないからだと思われる。

ヌレエフの共演ダンサーを説明する"pour le mettre en valeur"は、記事「ヌレエフの友人の存在意義」にもあるイディオム"mettre en valuer"を使っており、「彼を利用するための」または「彼を立派に見せるための」。新倉真由美は2つの意味を両方とも採用しているが、共演者を選ぶのはヌレエフなのだから、ここでもヌレエフから見た目的である「彼を立派に見せるため」だけのほうがもっともらしい。

"suite chorégraphique"(振付の一続き)の意味はよく分からないが、「ヌレエフと仲間たち」がいつも小規模の作品をいくつか演じるプログラムであることを指すのではないかと思う。「一続き」というのが「途中で邪魔されず」という意味かどうかは疑問があるが、私の力量でははっきりしたことは言えない。

「ヌレエフと仲間たち」の演目例

80年代の「ヌレエフと仲間たち」のいくつかは、アメリカの新聞のレビューや公演アーカイブサイトなどで今でも演目が分かる。プティは引用部分のあたりで70年代を念頭に置いているので、ここでは1974年にパレ・デ・スポールで行われた初公演の演目を順不同で並べてみる。出典は『Nureyev: His Life』(Diane Solway著)。

演目振付初演年
ゼンツァーノの花祭りブルノンヴィル1858
アポロバランシン1928
ムーア人のパヴァーヌホセ・リモン1949
オレオールポール・テイラー1962

これらは1974年にはすでに斬新というより定番だったろうと思える。80年代もこれらの少なくともいくつかは好んで取り上げられている。ここにはないがおなじみのベジャール「さすらう若者の歌」は、1971年初演で比較的新しい。

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