ヌレエフの公演を引き立てるための友人

『密なる時』P.29:
数々の国を渡り歩いたが、彼が知っているのは空港と劇場だけであり、そこでの友人たちも作品で彼を評価し、時おり彼の空虚な孤独を埋めてくれるにすぎなかった。
プティ原本:
Des pays qu'il traversait, il ne connaissait que les aéroports et les théâtres, les amis étaient là pour mettre en valeur ses spectacles et parfois pour combler le vide de sa solitude.
Telperion訳:
横断した国々について彼が知っていたのは空港と劇場だけであり、友人はそこで彼の公演をひき立て、ときには彼の孤独の空洞を埋めるためにいた。

ヌレエフの友人たちの存在理由としてここで書いてあるのは、前置詞pour(~のために)に続く2つの不定詞。

  1. mettre en valeur ses spectacles
  2. combler le vide de sa solitude (彼の孤独の空洞を埋める)

"mettre en valeur"は「~を利用する、~を立派に見せる」というイディオム。だから上の1番目の語句には、「彼の公演を利用する」「彼の公演を立派に見せる」という2とおりの訳が考えられる。

しかし2番目の理由「彼の孤独の空洞を埋める」は、ヌレエフにとっての友人たちの存在意義。だから1番目の理由も同じくヌレエフにとっての存在意義だろう。つまり「彼の公演を立派に見せる」が適切。友人たちが公演を通じてのみヌレエフを見るのではなく、ヌレエフが友人たちを公演での価値で測るということになる。

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