友好や拒否はヌレエフが相手に抱かせる感情

『ヌレエフとの密なる時』P.38:
彼は人に対し突然友好的な態度を見せたかと思うと、たちまち拒否反応を示すこともあり、その時の気分次第で演じようとする役の選択に影響を及ぼすのが常であった。
Telperion訳:
演じることを決意しようとする役として何を選択するのかは彼の気分の影響を受け、その気分次第で彼は好感またはたちどころの拒絶を誘うのだった。
原本『Temps Liés avec Noureev』:
il déclenchait la sympathie ou un rejet immédiat selon son humeur qui influençait le choix du rôle qu'il allait décider d'interpréter.

déclencherは「引き起こす、始動させる」。好感も拒絶もヌレエフが引き起こす、つまり他者に感じさせるもの。『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』の原著者メイエ=スタブレ(Meyer-Stabley)がヌレエフについて「面食らわせ、いら立たせ、魅惑する」と書いているが、ローラン・プティがここで書いているのも同じこと。ヌレエフが他人に見せる感情については、すでにプティは直前で「荒っぽく、まれにはご機嫌の猫のように」という意味のことを書いているので、ここで繰り返す必要はないと思う。

selonから文末までの直訳は「彼が演じることを決意しようとする役の選択に影響を及ぼす彼の気分次第で」。先ほど書いたように、引用部分の直前でヌレエフが騒動で見せる態度が書いてあるので、役の選択とは人前でどんな態度を取るか決めるということだろう。「気分次第で」は主文「彼は好感または拒絶を引き起こした」につながるのだが、新倉真由美の文だと、気分の影響を受けるのは役の選択にとどまるようにも受け取れる。

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