レスリー・キャロンの謙虚さがヌレエフの高慢に書き換わる

『ヌレエフ』P.239:
バレエについてはあなた方よりよく知っているので学ぶべきことはないという感じでした
Meyer-Stabley原本:
S'il s'agit de danse, il en sait bien plus que vous et vous ne lui apprendrez rien.
Telperion訳:
バレエについてなら、彼のほうがよく知っており、教えることはありません。

映画「ヴァレンティノ」で共演したレスリー・キャロンの述懐。

直訳は「バレエに関する場合、彼はそれについてあなたよりよく知っており、あなたは彼に何も教えません」。ここで「あなた」としたvousは二人称代名詞(あなた、あなた方、君たち)だが、不特定の人々を指すこともある。レスリー・キャロンがインタビュアーに向かって「あなたはヌレエフに教えません」と言うのは変なので、ここでは不特定の人々のことだろう。

この発言は「バレエのスペシャリストであるヌレエフにバレエを教えるなんて、そんなことしませんよね」という意味合いに見える。「ヌレエフは踊りを人より知っている」とは一般的な人々の見解で、「彼に何も教えない」とはその見解に基づく人々の行動。ヌレエフの振る舞いについては何もかかれていないのに、新倉本では「ヌレエフは専門家を自認している」とか「素人風情に耳は貸さないという態度」とか、ひどい書き方をされている。

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