配給券集めの話ではない

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.31-32:
それを集めるのはハメットにとり容易ではなかった。
Telperion訳:
ハメットからきついお仕置きを受ける結果になることだった。
原本『Noureev』:
Ce qui lui vaut une sévère correction de la part d'Hamet.

幼少時のヌレエフが踊りに没頭するあまり、食料の配給券をなくした後の波紋。ハメットはヌレエフの父。

この文の直訳は「彼にハメットからの厳しいお仕置きをもたらしたこと」。解析上のポイントをいくつか挙げる。

  1. "ce qui"は、前の文で書かれたことについて説明する構文"ce qui ~(主語が欠けた文)"の先頭。この構文の直訳は「~であること」だが、"ce qui"を「前の文で書かれたこと」を指す代名詞に読み替え、「それは~だ」と読むほうが分かりやすい。
  2. "lui vaut ~"は、「彼に~をもたらす」。彼、つまりヌレエフの身に何かが起きたことを指す。
  3. "une sévère correction"は、ヌレエフの身に起きたこと。sévèreにもcorrectionにもそれぞれいくつかの意味があるが、文脈的に最適な組み合わせは「厳しいお仕置き」だろう。
  4. "de la part de Hammet"は、「ハメットからの」。その前に示された行為、この場合はお仕置きの動作主を示す。

新倉真由美が原文の構成を理解したようには見えない。それに原文に「集める」にあたる言葉はない。多分correctionをcollection(収集品)と混同したのだろう。

主な更新

2014/9/28
箇条書きを導入
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