フォンテーンのあおりを食らったのはパートナー

『ヌレエフ』P.132:
そしてその至高の優美、完璧な優雅さ、寛大な心と舞台栄えがして存在感を放つ容姿は、ライバルたちを青ざめさせたものでした。
Telperion訳:
至高の優雅さ、完璧な優美さをそなえ、心は大変広く、舞台での存在感は四方にあふれ出て、パートナーを色あせさせていた。
原本『Noureev』:
une grâce de souveraine, une élégance parfaite, une grande générosité de cœur et une présence scénique qui irradiait et faisait pâlir ses partenaires.

プティが列挙したフォンテーンの美点の抜粋。

partenaire(パートナー)はバレエの文脈ではパ・ド・ドゥーの相手を指すことが圧倒的に多い。仏和辞書を引いても、partenaireは一対一の緊密な関係がある相手を指す言葉で、プリマ・バレリーナとそのライバルたちの関係には当てはまらない。プティが言っているのは、ヌレエフより前にフォンテーンと組んだパートナーたちがいずれも、ヌレエフのように自分を対等に見せるタイプではなく、フォンテーンを立てるのに徹していたこと。

関係節"qui irradiait et faisait pâlir ses partenaires"(発散し、パートナーを色あせさせていた)の述語irradiaitとfaisaitの活用語尾は三人称単数形。だから、この関係節は単数の事柄を修飾していると分かる。つまり直前の"une présence scénique"(舞台での存在感)のみ。実際、優美さや優雅さならともかく、「フォンテーンの寛大な心がパートナーを色あせさせた」というのはあまり現実的でないように思える。

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