ヌレエフを選んだドゥジンスカヤの正しさ

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.64:
彼の卓越した技量によってドジンスカヤはのびのびと踊れた。彼が選んだパドシスは秀逸な出来だった。
Telperion訳:
彼女はルドルフの踊りが同じように優れていたことにとりわけ安堵した(なかでもパ・ド・シスは素晴らしかった)。自分の選択が理にかなっていることが明らかになったからだ。
原本『Noureev』:
Elle est surtout soulagée que Rudolf ait aussi bien dansé ― le pas de six notamment fut splendide ―, car cela donne raison à son choix.

キーロフのプリマ・バレリーナ、ナタリア・ドゥジンスカヤとキーロフに入団したばかりのヌレエフの共演が成功したことについて。

引用した部分はカンマの前と後で別々の文になっている。後半部分、つまりcarから文末までの部分は、「なぜならこのことが彼/彼女の選択の正しさを示したからだ」となる。

  • "donner raison à ~"は「~の正しさを示す」というイディオム
  • sonは文脈に応じて「彼の」または「彼女の」

長ダッシュ(―)の対は括弧と同じように使われる。括弧の場合と同じく、長ダッシュの対の外側にある文章は、対の内側にある語句を無視しても成立するように書かれる。だから、対の外側にある"son choix"(彼/彼女の選択)が対の内側にある"le pas de six"(パ・ド・シス)を指すことはない。つまり、選択されたのはパ・ド・シスではない。

引用の前半部分で「ドゥジンスカヤはルドルフの優れた踊りに安堵した」と言っていることを考えると、"son choix"は「彼女の選択」、つまりヌレエフをパートナーに起用するというドゥジンスカヤの選択であることが分かる。

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