ストライキに関与するのは誰か

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.288:
彼はストライキのためでなく、踊るためにそこに存在していたのだ。
Telperion訳:
踊るためにいるのではないか。ストライキをするためではない。
原本『Noureev』:
On est là pour danser. Pas pour faire des grèves.

ヌレエフが対立相手に露骨に敵意をぶつけ、オペラ座での立場を悪化させる様子を書いた部分から。「溝を越えられなかったヌレエフの比喩」も同じ段落にある。

引用部分の主語onは、人間一般を指すときや、主語をぼかしたい場合に使う代名詞。話し言葉では「我々は」など通常の代名詞のように使うこともあるが、書き言葉では最初に述べた意味がほとんどだと思う。

ここでonについて言われているのは、「踊るためにそこにいる」と「ストライキをするため(にそこにいるの)ではない」の2つ。"faire grève"は「ストライキに対処する」のような意味を持たず、「ストライキをする」。雇用者側である監督ヌレエフはストライキをする立場にないので、onはヌレエフを指すのではない。「踊る」「ストライキをする」の両方に関連するのは、被雇用者であるオペラ座ダンサーたち。彼らが気に入らない仕事をやりたがらず、何かとストライキを武器にしてきたことは、「パリ・オペラ座バレエは御しにくい」などで書いている。

ヌレエフとバレエ団との対立激化という文脈を考えると、引用部分はヌレエフがスト権を振りかざす団員たちを非難する心中を想像していると推測できる。

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