新倉本『ヌレエフ』の不自然さ - 「三日月クラシック」より(2)

『ヌレエフ』を読んで事前の知識の有無にかかわらずに変だと思った訳文について、今回は「三日月クラシック」の次の記事に載っている分を取り上げます。 『光と影』原文比較 追加(以下「原文比較3」 『光と影』原文比較4 『光と影』原文比較5 とはいっても、今回取り上げる訳文は前回ほど多くありません。原文比較3のときはDiane Solway著『Nureyev: His Life』の記述と合わない個所を主に照合したようだし、原文比較4・5のと...
全部読む

新倉本『ヌレエフ』の不自然さ - 「三日月クラシック」より(1)

私が2011年2月に初めて新倉真由美による訳本『ヌレエフ』を読んだとき、「どういう理屈でこの文が書かれたのかさっぱり分からない」と当惑することがよくありました。2011年3月に早速「三日月クラシック」へのコメントで愚痴っています。バレエやヌレエフについて知らなくても「この文が正しいとは思えない」と怪しむような個所を列挙してみたいのは、今年最初の記事でも書いたとおりです。 まず原文比較2の記事を取り上げる理由 ...
全部読む

異論を唱えるのでなく唱えられるヌレエフ

『ヌレエフ』P.290:服従すべき立場であったが芸術上の選択に関しては反対意見も申し立てられる彼は、ベルジェのもとに急いだ。 Telperion訳:異論の対象にはならないが、その芸術上の選択には異議の余地があることが多い彼は、ベルジェと対立した。 原本『Noureev』:Incontesté, mais souvent contestable dans ses choix artistiques, il se heurte à Bergé. パリ・オペラ座を統括することになったピエール・ベルジェがバレ...
全部読む

ヌレエフの寄与を惜しみなく認めるフォンテーン

『ヌレエフ』P.209:彼はなすべきすべてをしているように見えました。 Telperion訳:すべてを彼に負っているという印象です。 原本『Noureev』:J'ai l'impression de tout lui devoir. 踊りのパートナーとしてのヌレエフについて語るフォンテーン。「彼は私が望むように踊らせる、私自身の最大限を与える」といったことを語った後に続く。 構文解析は単純 直訳は「私はすべてを彼に負うという印象を持っています」。 文中で...
全部読む

半分恋するのは踊りのため

『ヌレエフ』P.144:彼女はコレット・クラークに「まるでルドルフに恋しているみたい」と打ち明けている。 Telperion訳:彼女はコレット・クラークに打ち明けてすらいる。ルドルフと踊るには、そうするのと同じように「彼に半分恋する」ことが必要だと。 原本『Noureev』:Elle confie même à Colette Clark qu'il faut qu'elle soit « à moitié amoureuse de Rudolf » pour danser avec lui aussi bien qu'elle le fait. ヌレエ...
全部読む

ニューヨークで初めての公演

『密なる時』P.19:マーゴ・フォンテーンとルドルフ・ヌレエフのカップルが、ブロードウェイの古いメトロポリタン劇場で『ジゼル』を初演した時のことは今も忘れがたい (注3)。 プティ原本:le couple Fonteyn-Noureev dansant Gisèle pour la première fois sur la scène du vieux Metropolitan de Broadway est inoubliable. Telperion訳:ブロードウェイの古いメトロポリタンの舞台で初めてジゼルを踊るフォンテーンとヌレエフの...
全部読む

亡命後すぐスーパースターになったのではない

『ヌレエフ』P.120:彼はスーパースター、ヌレエフにいくつかの特徴を見出した。「彼はその肉体、顔、尊大さ、優雅さに特徴があり、的確に演じる術(すべ)を心得ていました」 Telperion訳:デザイナーの導き手はルドルフの「スーパースター」らしさを認めることになる。「彼にはそういう容姿、顔、傲慢さ、優雅さがあり、それを的確に操ることができました」 原本『Noureev』:Le mentor du couturier reconnaîtra la griffe de « su...
全部読む