ヌレエフの財団とヌレエフの名

『ヌレエフとの密なる時』P.62-63:ヌレエフは金銭に執着することもなく、並外れたケチではなかった。むしろ貯金するのを覚えてからは、数々の契約から得られる収入の多くを基金につぎ込むようになった。それは彼に名声をもたらし、芸術の世界のみならず社会的な援助活動を実現させていった。それは美しいバレエを学ぶチャンスのない若きダンサーたちの夢をかなえたのをはじめ、あらゆることを可能にしていった。 Telperion訳:ルド...
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野獣とはヌレエフの食い意地を指した表現ではない

『ヌレエフとの密なる時』P.80:ある日ヌレエフは、野獣のように夕食のキャビアをがつがつと食べ終えると、私に何か書くものが欲しいと言ってきた。彼は私をつなぎ止め、彼がバレエの総指揮をしているオペラ座に話をつけ、すぐにでも具体的な契約を交わそうとしていた。 Telperion訳:野獣はキャビアの夕食を手短にすませた後、書くものを私に要求した。彼に、そして彼がバレエ団を掌握しているパリ・オペラ座に私を結び付ける詳細...
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デュポンの声明に辛辣さはあるのか

以前記事「パリ・オペラ座との関係は監督辞任直後は冷え気味」で、『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』の原著者メイエ=スタブレ(Meyer-Stabley)は当時のデュポンに「辛辣さがないわけではない」と書いていることを述べました。それなら、その直後に引用されるデュポンの声明には、その心情がにじみ出ているはずです。なのに訳本ではしごく穏当にヌレエフを立てているのが不自然なので、原文にあたったのですが、私の読解力で...
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プティの原文と『ヌレエフ』原著者の引用の違い

前に記事「性欲を持て余したとは限らない」で、『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』原著者メイエ=スタブレ(Meyer-Stabley)がプティと違う意見を言うためにプティの文を借用することへの疑問について書きました。今回はその続きです。 聴衆が彼に喝采するために来た メイエ=スタブレはダンサーとして舞台に立つのをやめる直前のヌレエフについて、「観客は自分たちのアイドルに恐らく最後の喝采を浴びせに来た」と書いてい...
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観客が踊りに立ち入らないのは当たり前

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.170:観客は私が行っていることに立ち入れないのです。舞台上では感情を内面化し自分自身に集中しなくてはなりません。 Telperion訳:私が感じることは内面化され、私自身の中に凝集され、観客はそこに入ってこないのです。 原本『Noureev』:le public ne pénètre pas dans ce que j'éprouve, qui est intériorisé, ramassé en moi-même. 1978年11月27日のパリ・マッチ誌に載ったヌレ...
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ベッドが1つしかないのを歓迎したプティ

『ヌレエフとの密なる時』P.27:ベッドはひとつしかなかったが、彼は親しくもてなしてくれ、長い会話が馬鹿笑いで途切れると、私たちは背中合わせに眠りについた。 Telperion訳:そしてベッドが1つしかなかったので、もてなしはなおさら親密でしかなく、何度も大笑いに中断された長い会話の後、私たちは背中合わせに眠りに落ち、 原本『Temps Liés avec Noureev』:et comme il n'y avait qu'un lit, l'hospitalité n'en était que ...
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「ヌレエフと仲間たち」プログラムの特徴

『ヌレエフとの密なる時』P.55:スターである彼と彼を利用し引き立てるダンサーたちの小さなグループ、斬新な作品の中ですべては滞りなく進み、確実に期待どおりの大成功を収めていた。 Telperion訳:スターである彼と、彼をひき立てる優れたダンサーの少人数グループ、すべては一連の振付で差し出され、各種取り混ぜてはいるが、期待された勝利を確実に引き出した。 原本『Temps Liés avec Noureev』:Lui la star et un petit gro...
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主催者の期待がプティの不満にされる

『ヌレエフとの密なる時』P.70:契約が交わされ、私はこのシーズンは成功するだろうという予感に包まれていた。ある日ジェーン・ハーマンが微笑みながら私のところにやって来て、ぜひヌレエフを招待して『ノートルダム・ド・パリ』のカジモド役を2、3回踊ってもらいたいと言った。それは我々のニューヨーク滞在に余計な波紋をもたらすことになるかもしれない。何かと取り沙汰されてしまう危険性もある。踊り手はすでに決まってい...
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性欲を持て余したとは限らない

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.186:常に肉体的な高揚感にブレーキをかけられず、その捕え難さに魅せられていたヌレエフは、すべてを放蕩に使い果たして性欲から健康を害し、燃え上がるような生命に許された時間は僅かと知りながら放埓な生活をやめられなかった。 Telperion訳:捕えられないものに常に引きつけられ、肉欲の勢いを決して抑制しようとせず、ヌレエフは放埓に過ごすのをやめず、先祖の官能すべてを放蕩に...
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ヌレエフが性欲にかけるわずかな時間

『ヌレエフとの密なる時』P.29:彼の性的欲望は、素早く巧みに満たされ、まるで手を洗うように淡白で衛生的であり、激情に身をやつすことはほとんどなかった。 Telperion訳:こうして彼の性欲はてきぱきと完遂され、手を洗うように衛生的で、彼にとってはたぎるような人生のうちわずかな時間しかかからなかった。 原本『Temps Liés avec Noureev』:Ainsi sa sexualité, accomplie vite fait bien fait, hygiénique comme on se lav...
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