伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(ベルトラン・メイエ=スタブレ著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(ベルトラン・メイエ=スタブレ著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

TOP > 舞台裏のヌレエフ

奇妙なのはレセプションで主役が気づかれないこと

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.168:ルドルフは化粧を落として一人で現れ、喧騒を興味深く眺めていましたが、彼に気づく人はいませんでした。 Telperion訳:ルドルフはメイクを落として一人で来て、不思議なことに大騒ぎの中で誰も彼に気づかなかった。 原本『Noureev』:Rudolf était arrivé seul, démaquillé, et curieusement dans le tohu-bohu personne ne l'avait remarqué. ヌレエフが公演後のレセプションに...

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ヌレエフの凶暴さは伝聞ほどではないという証言

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.211:バレリーナのマイナ・ジルガドはヌレエフが巻き起こした残忍な伝説について記述している。 Telperion訳:ダンサーのメイナ・ギールグッドはヌレエフに先行する凶暴さの伝説について述べている。 原本『Noureev』:La danseuse Maïna Gielgud décrit la légende de férocité qui précédait Noureev : ヌレエフがパートナーのバレリーナに暴力をふるったという逸話について、パート...

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シューズを投げたのは八つ当たりではない

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.87:そして白い胸飾りをつけ舞台袖にいた男性の方をめがけてバレエシューズを投げつけた。 Telperion訳:その後舞台袖で、白い胸当てをした男性の方向にシューズを投げつけた。 原本『Noureev』:après quoi, dans les coulisses, il lance son chausson dans la direction de l'homme au plastron blanc. ヌレエフが指揮者のテンポに腹を立て、「ラ・バヤデール」公演中に自分のヴァ...

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お騒がせスターのイメージはマスコミが主導した

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.164:平手打ちをし、怒りや不満をわめきちらし地面をのた打ち回るルドルフは、マスコミの妄想をあれこれ駆り立てた。彼は群舞ダンサーたちの恐怖の的となり、話題に事欠かなかった。 Telperion訳:「ステップのランボー」というイメージは1960年代に作られたが、これは当時のもう一人の大スターである雌虎カラス、気まぐれカラス、お騒がせカラスが舞台から退くのと同時期のことである。...

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談話の語り手も範囲も間違い

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.169:その野性的で野良犬のような性格は頻繁に紙面をにぎわせた。 Telperion訳:あるダンサーは、彼の人物の野性的で飼いならされない面を覚えている。 原本『Noureev』: Un danseur se souvient du côté sauvage et indompté du personnage : P.169から170にかけての「彼は怒り狂ってバレエシューズを放り投げ」で始まり、かぎ括弧で囲まれた長い談話の前置き。この前置きのせいで...

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喧嘩の相手をひっかく男?

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.211:パートナーを爪でひっかいたとか、 Telperion訳:パートナーが平手打ちされたとか、 原本『Noureev』:Une partenaire giflée, 動詞giflerは「平手打ちする」で、「ひっかく」という意味はない。実際、喧嘩で相手をひっかくのは女性の行動パターンに思え、男性であるヌレエフの行為としては違和感がないでもない。 その他の例 同様の例なので原文と私の訳は省略するが、以下の...

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記者をからかうヌレエフに好意的な原著者

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.164:しかし記者はルドルフの花形スターぶりをクローズアップしようとするあまり、子どもじみた一面には注意を払わなかった。看板ダンサーとしての性格は確かに気まぐれであった。 Telperion訳:しかし、マスコミはこの気が変わりやすい好人物の面を忘れ、ルドルフの「スター」の面だけをとらえた。その性格は確かに気まぐれだった。 原本『Noureev』:Pourtant, la presse oublie ce côt...

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ソ連当局による優遇と締め付け

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.77: ルドルフが妻のタチアナが怪我のために同行できないユーリ・ソロヴィエフと同室だと知らせるには細心の注意を払った。KGBの同行についても知らされていなかった。 Telperion訳:その上、ルドルフがユーリ・ソロヴィエフ(妻のタチアナ・レガトは怪我が原因でソ連に残った)と同室になるように細心の注意を払って準備された。それでも、もちろん私服のKGBの同行者が多数準備され...

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亡命前のパリ公演ではアルブレヒトを踊っていない

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.102:アルブレヒト役を踊るときにパリで注文した鬘はなくしてしまった。それはくるくるカールした金髪だったのでマリリン・モンローのようだと大笑いされた。 Telperion訳:「ジゼル」のアルブレヒト役を演じるためにパリで注文したかつらも失った(このかつらはあまりに金髪であまりにカールしていたので、笑いながら「マリリン・モンロー」と名付けていた)。 原本『Noureev』: Il a per...

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トリエステは人名でなく地名

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』P.169:パートナーのトリエステはパドドゥーがぎくしゃくしたといって平手打ちをされ、 Telperion訳:トリエステでパ・ド・ドゥーのときぶつかったパートナーに平手打ちをしたとか、 原本『Noureev』:Qu'il gifle à Trieste sa partenaire qui l'a heurté dans un pas de deux ヌレエフが周囲としょっちゅうトラブルを起こしたという一例。 動詞gifler(平手打ちをする)は他動詞なので...

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