伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

鉢合わせは交友の一例ではない

『ヌレエフ』P.201-202:
彼らはニューヨークやサン・バースやヨーロッパ各地で時どき食事を共にし、鉢合わせすることもあった。
Meyer-Stabley原本:
Ils dînent souvent ensemble à New York, à Saint-Barth ou en Europe, chaque fois que le hasard les rassemble.
Telperion訳:
2人はニューヨーク、サン・バルト、あるいはヨーロッパで、偶然一緒になるたびに幾度も夕食を共にした。

ジャクリーン・ケネディとヌレエフの交際について。

"chacuq fois que ~(節)"は「~するたびに」。この3つの単語を抜かすと、訳本のような訳文になる。

ジャクリーン・ケネディは、ヌレエフについて熱っぽく語ったり(訳本P.150)、ヌレエフに万一の時の助力を頼まれたり(訳本P.281)しており、ヌレエフのセレブ友達のなかでも特に仲が良いうちの1人だったことがうかがえる。「鉢合わせすることもある」のは単なる顔見知り同士でもできることで、新倉真由美の描写ではいまひとつ2人の親密さが伝わらないと思う。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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