翻訳に由来する新倉本『ヌレエフ』の間違い - バレエ一般

前も書いたとおり、新倉真由美訳『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、原本と比べると以下の3つが数多くあります。 明らかに事実でないこと 非論理的な文 意図的と疑いたくなるほど異なるヌレエフ像 このうち3番目については、すでに主だった個所を「新倉本が招くヌレエフの誤解 - 一覧」でピックアップしました。今回は1番目の一部として、原著者のせいでない、バレエ関係の大きく間違った記述を挙げてみます。ただし...
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新倉本『ヌレエフ』の固有名詞ミス

訳本『ヌレエフ』にある耳慣れない名前が日本語でほとんど話題にならない人や物なのか、それとも誤植のせいで生まれた架空の名前なのか、訳本を読むだけでは区別が難しい。原本にある固有名詞ミスと対比させる意味でも、訳本独自の固有名詞ミスを列挙してみたいと前から思っていた。 ただ、原語に対する日本語表記は一つとは限らず、許容できる表記かどうかの線引きはなかなか難しい。私自身、ネットで最も見かけるのとは違う表記...
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新倉本が招くヌレエフの誤解 - 一覧

「新倉真由美の訳本『ヌレエフ』でのヌレエフの描かれ方がろくでもない」リストがいつまでも12の記事に分散したままでは読みにくいので、記事一覧をまとめます。 このブログの記事 新倉本『ヌレエフ』における原本『Noureev』から逸脱したヌレエフ描写を傾向ごとに分類し、傾向ごとに感想記事とこのブログにある具体例の記事一覧を付けました。一部の傾向に感想記事しかないのは、その傾向に属する個所すべてが、別なブログ「三...
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ヌレエフのイメージに微妙にかかわる訳語選択

今まで「訳本の原文逸脱のせいで、ヌレエフの性格描写が気の毒なことになっている」という例をつらつら書いてきました。今回書くのは、このくらいなら訳者の裁量のうち、翻訳ミスには当たらないとは思いながらも、何となく引っかかる個所です。新倉真由美がよそであれほどヌレエフの性格に傷をつける訳文を連発していなければ、流せたかも知れません。 1. 皇帝の力とスターの気まぐれ 『ヌレエフ』巻頭:バレエ界の帝王と言うべ...
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新倉本が招くヌレエフの誤解(12) - いろいろ

夫人は彼を取り巻きにした P.203 遊べる相手を物色(「三日月クラシック」の原文比較2より) P.306 病気、熱とだるさに打ち勝てず(中略)運命の流れを変えられないことにうろたえていた。(「三日月クラシック」の原文比較3より) 指揮者への転職を考えて マリー=エレーヌがヌレエフを取り巻きに? 第1項は、マリー=エレーヌ・ド・ロスチャイルドとヌレエフの関係が一気に寒々しくなりました。intimeの意味として仏和辞書に「親...
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新倉本が招くヌレエフの誤解(11) - パートナーに不親切

ここに挙げるものは、今まで挙げたなかによくあったような「こんな訳文にするなんて信じられない」というものではなく、普通の翻訳ミスと呼んでよいでしょう。でも、ヌレエフがバレエのときに物を投げたとか平手打ちをしたとかいう話ばかり『ヌレエフ』にある一方、パートナーへの態度が良かったという話が消えるのは面白くないので、単独の記事で取り上げることにしました。 P.211 実力以上にみせてあげた人は僅かしかいなかっ...
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新倉本が招くヌレエフの誤解(10) - 完璧な踊り

P.55 簡単にこなせてしまうために(「三日月クラシック」の原文比較3より) P.56 後に続くのは若きヌレエフ(「三日月クラシック」の原文比較4より) P.58 どんなに優秀なダンサーよりも傑出し(「三日月クラシック」の原文比較5より) P.219 姿勢を評価(「三日月クラシック」の原文比較4より) P.220 新たな挑戦(「三日月クラシック」の原文比較4より) P.210 皆はなんとかして彼と踊りたがりました(「三日月クラシック」の原文比較2...
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新倉本が招くヌレエフの誤解(9) - 異様な趣味

ここで挙げるのは、訳本を読んだとき「ヌレエフってそんな変なことするの?」と思った個所。今まで挙げた、ヌレエフの人格にかかわる個所に比べると、微笑ましいとすら言えます。しかし、「ヌレエフは変人だから何でもあり」と言わんばかりに新倉真由美と文園社がノーチェックでこんな変な記述を出版したのには驚きます。 P.89 外出時には羽飾りのついたターバンを巻くかクロテンの帽子をかぶり、(「三日月クラシック」の原文比...
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新倉本が招くヌレエフの誤解(8) - 女性関係

P.203 本性は変わらず、優雅なハーレムへと出かけて(「三日月クラシック」の原文比較2より) P.248 女性たちは彼に抵抗できず足もとに身を投げ出して(「三日月クラシック」の原文比較2より) (リー・ラジウィルは)ついに身を任せました P.152 彼に言い寄ってくる女性をなすがまま(「三日月クラシック」の原文比較5より) この一覧はすでに記事「迫ったのはどちらか」に書いていますが、一応独立させました。 宿泊先に帰る→風俗...
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新倉本が招くヌレエフの誤解(7) - 批判の的

P.170 それは恐らく彼を最も有名にした要素だろう。(「三日月クラシック」の原文比較1より) 子どもじみた一面 P.222 パリのデザイナーたちは批判している(「三日月クラシック」の原文比較3より) 一番有名なのは性格の悪さ? 第1項は「三日月クラシック」に文法の説明を書かなかったので、簡単に書きます。比較的簡単な構文で、大学教養過程でフランス語を学習しただけでも読めそうです。 引用した文の主語、つまり「彼の最良...
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