伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

ヌレエフに好意的なフランスの女性ダンサーたち

『ヌレエフ』P.210:
フランスのダンサーたちはヌレエフについてさまざまな情報を提供してくれた。
Meyer-Stabley原本:
Les danseuses françaises seront d'ailleurs les meilleurs agents publicitaires de Noureev, formant un chœur unanime.
Telperion訳:
フランスの女性ダンサーはヌレエフのとりわけ最上の広告代理業者となり、全員が声をそろえる。

publicitaireは「宣伝の、広告の」、agentは「代理人、エージェント」なので、"agent publicitaire"は「広告代理業者」といったところ。フランスのダンサーたちが"chœur unanime"(全員一致した声を上げる集団)となってヌレエフの広告代理業を手掛けるというのは、つまり皆がヌレエフをほめたということ。

もっともウィルフリード・ピオレはやや冷めているので(「三日月クラシック」の記事より「P.210 彼に最も忠実だったのは~」の項を参照)、この原文には誇張がある。

2013/5/31
上の文に取り消し線を引く。ピオレの談話は上記引用文より前にあるので、広告業者のような賛辞として扱われていないため。
2014/1/18
取り消し線を解除。フランス人のピオレが必ずしも絶賛していないのは確かなので。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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