伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

répétition(稽古)とreprésentation(公演) - ジゼル編

『ヌレエフ』P.139:
フォンテーンとヌレエフは一二回の公演の権利を得た。
Meyer-Stabley原本:
Fonteyn et Noureev vont avoir droit à douze répétitions, un nombre inhabituellement élevé,
Telperion訳:
フォンテーンとヌレエフは、異例な多さである12回の稽古の権利を得る。

フォンテーンとヌレエフの初共演となるロイヤル・バレエの「ジゼル」公演について。

répétitionは「稽古、リハーサル」で、「公演」のフランス語はreprésentation。実際、ここは公演より稽古のほうが次の理由で理にかなう。

  1. 同じページで、提案された公演数は3回とある。
  2. 引用文の後に「この回数のおかげで、2人に相手の踊り方を深く知る余裕ができた」という意味の文が続く。フォンテーンとヌレエフは最初の共演でもう絶賛されるので、公演を重ねるうちに理解を深めたというより、稽古を重ねた結果、初公演のときすでに理解し合っていたことが見て取れる。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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