伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

振付作品数は初演作品数と再演作品数の合計

『ヌレエフ』P.291-292:
毎年彼の振付作品二本と新作一本を上演します。今シーズンは“眠れる森の美女”と“白鳥の湖”の改訂版と新作の“バヤデール”を行います」
Meyer-Stabley原本:
Chaque année, nous reprendrons deux de ses productions et en créerons une nouvelle. Cette saison voit la reprise de La Belle au bois dormant et du Lac des cygnes, et la création de La Bayadère. »
Telperion訳:
毎年彼の作品2本を再演し、新作1本を初演します。今シーズンは『眠れる森の美女』と『白鳥の湖』の再演、『ラ・バヤデール』の初演を行います」

この声明が出たとき(1989年11月ごろ)、「眠れる森の美女」と「白鳥の湖」のヌレエフ版はすでに上演されていた一方、「ラ・バヤデール」全幕のヌレエフ版はまだ存在しない。だから前者の上演を再演(動詞reprendreや名詞reprise)、後者の上演を初演(動詞créerや名詞création)と呼んで区別している。

ヌレエフの振付作品は合計3本上演されるので、「振付作品二本と新作一本」という表現は変。それに、列挙された3作品はすべてプティパ振付をベースにした改訂版と呼べるので、「ラ・バヤデール」だけを新作と呼ぶのも変。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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