伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

national(国内)とinternational(国際)

『ヌレエフ』P.56:
ルドルフがワガノワ国際コンクールに代表として選出されたのは驚きに値しない。それはモスクワで開催され、ソヴィエト連邦中のあらゆるバレエ学校の生徒が参加しており、
Meyer-Stabley原本:
il n'est pas étonnant que Rudolf soit choisi pour représenter la Vaganova au concours national qui réunit à Moscou toutes les écoles de ballet d'Union soviétique.
Telperion訳:
ソ連の全バレエ学校がモスクワに集結する全国コンクールで、ルドルフがワガノワ代表に選ばれたのは驚くことではない。
『ヌレエフ』P.317:
モスクワ国際コンクール入賞
Meyer-Stabley原本:
remporte le concours national de Moscou.
Telperion訳:
モスクワの全国コンクールで勝利する

ヌレエフがワガノワ・アカデミーの生徒時代に出場したコンクールについて。

nationalは「国内の」「全国の」。実際、外国の学校が参加しているという記述はない。国際コンクールの代表というと、ソ連の代表のように聞こえるが、実際は母校ワガノワを代表している(représenter la Vaganova)。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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