伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

フィガロ紙のヌレエフ讃

『ヌレエフ』P.84:
フィガロ紙は「エーリアン、ルドルフ・ヌレエフ」の大きな写真を載せて伝説を捧げた。
Meyer-Stabley原本:
Le Figaro parle de « l'aérien Rudolf Noureev » et lui consacre une grande photo avec cette légende :
Telperion訳:
フィガロ紙は「軽々としたルドルフ・ヌレエフ」を話題にし、この説明文が付いた大きな写真を捧げた。

ヌレエフがパリで華々しくデビューしたときのフィガロ紙の絶賛。

aérienとは

aérienはもともと「航空の」「空中の」「空気のように軽い」などという形容詞。日本語で言うエイリアンは英語alienに由来しており、aérienとは無関係。aérienとalienの混同は、記事「溝を越えられなかったヌレエフの比喩」でも見られる。

légendeとは

légendeには「伝説」のほかに「(図や写真などの)説明文、凡例」という意味がある。次の理由から、ここでの意味は「説明文」が妥当。

  • 「捧げた」(consacre)の目的語は写真(une grande photo)であり、"avec cette légende"はそれを修飾しているに過ぎない。
  • légendeの後にコロンがある。ここでは引用しないが、コロンの後にはヌレエフを賛美する文が続く。これはコロンの用法のひとつで、コロンの前にあることをコロンの後で詳細に説明している。つまりlégendeの内容はその文。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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