伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

『ヌレエフ』を出版した文園社はもうない?

文園社の異変

もう数ヶ月も前のこと、とても久しぶりに文園社の新刊紹介ページを見に行きました。新倉真由美の4冊目の翻訳本が出ないとも限らないので。そうしたら、「www.bunensha.co.jp という名前のサーバが見つかりませんでした。」というエラーメッセージが返りました。JPRS Whoisサービスでドメインbunensha.co.jpの状態を調べたら、その時点では他の正常なjpドメインと同じく、Connected(接続済)でした。しかし12月下旬にはTo be deleted (削除予定)となり、新年を迎えた今やDeleted(削除済)。

文園社の雑誌「バレリーナへの道」を日本アマゾンで検索したところ、2015年12月発売のVol.103を最後に発売が止まったようです。まだ残っている公式ブログである『バレリーナへの道』BLOG(http://balletrinanomichi.blog.fc2.com/)は、2015年4月に載ったVol.101発売のお知らせが最終更新です。2015年1月にはVol.100発売について、

練りに練った企画がよかったのでしょうか、有難いことに、年明け早々、100号のご注文を着々といただいております。

と意気揚々と書いていたのに。

不思議なことに、日本アマゾンでは文園社の新刊を今も注文できるし、「入荷予定あり」も珍しくありません。出版社が消えても在庫は残るとはいえ、小規模そうな文園社の在庫なんてたかが知れているでしょうに。まあ、入荷予定が数冊かそこらという可能性もあります。

最近の文園社の動向についてはネットで記述が見つからず、真相が分かりません。『ヌレエフとの密なる時』を出版した新風舎が倒産についてあちこちで書かれているのとは対照的です。文園社は新風舎ほど周りに迷惑をかけず、ひっそり解散したのでしょうか。

肩の荷が少し下りたかも

『ヌレエフ 20世紀バレエの真髄 光と影』と『バッキンガム宮殿の日常生活』も、今も日本アマゾンで新刊を買えます。でも、どちらも今後印刷されることがないのなら、胸が少し軽くなります。あんなでたらめな本が詳細な歴史本であるかのように国内に撒き散らされるのは耐え難いですから。

それでも今のところ『ヌレエフ 20世紀バレエの真髄 光と影』は、ヌレエフの生涯すべてを書いた唯一の日本語の伝記。だからヌレエフに興味を持った人の気を引くはずだし、すでにかなり多くの図書館にあるでしょう。現に東京都23区のうち、実に16区で区立図書館の蔵書となっていますね。私がかつてクラヲタとしてよく通った東京文化会館音楽資料室で開架図書なのには、聖地を汚された気すらします。『ヌレエフ』が一冊残らず地上から消え去るのは難しく、新たな読者は今後も少しずつ生まれるでしょう。私のブログの内容がそのほんの一部にでも届くように、保守の必要はまだありそうです。

ちなみに、『バッキンガム宮殿の日常生活』を区立図書館の蔵書にしている東京都23区の数はなんと19。ダイアナ人気を当てにした2002年の原書を2011年に邦訳出版という時期外れな本に、それほどの要望があるとは思ってもみませんでした。ダイアナやチャールズ一家のページ数が多いとはいえ、王室の生活全般を取り上げているのが有利に働いたのかも知れません。実際、原本の段階でいい加減でなければ、あの広範囲な記述は力作たりえたでしょうに。

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Telperion

Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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