伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

ministre(大臣)とministère(省)

『ヌレエフ』P.77:
強大な権力を持つ文化省同様、マスメディアで力を発揮していたのはエカテリーナ・フルツエヴァだった。
Meyer-Stabley原本:
Tout comme la toute-puissante ministre de la Culture, la médiatique Ekaterina Fourtseva.
Telperion訳:
全能の文化大臣であると同様、エカテリーナ・フルツェワはメディアに露出していた。

ministreは「大臣」であり、省のフランス語はministère。

フルツェワは1961年当時の文化大臣。原文は、フルツェワが持っていた文化大臣としての政治的権力をメディア面での力と並べて書き、ヌレエフがキーロフ・バレエの欧米ツアーに参加するのを後押ししたフルツェワの力の大きさを述べている。

新倉真由美の訳文では、フルツェワと文化省が別々の立場から力を発揮したような書き方。しかしフルツェワはこの後書かれるとおり「人形ではなく」、実際に文化省を統率していた。しかもフルツェワのメディア受けが良いなら、文化省の顔だったろうから、文化省とフルツェワは一体だったと見なして良いと思う。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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