伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

ブログ公開1周年

fc2にブログ開設を申し込み、最初の記事を書いたのは、去年の6/2でした。その後、テンプレートを選んだり、記事の書式やカテゴリ分けを決めたり、いろいろ準備して、ブログを公開したのがヌレエフの亡命した日に合わせた6/14。あれから1年経ちました。

記事数の激増

気づくのが早ければとっくに「三日月クラシック」のコメントに書いていたような問題点のストックを書くのが、ブログ開設の最大の動機だったのは確かです。しかし、たとえ細かいものでも、事実でない個所、訳本だと意味がよく分からない個所、初歩的な文法ミスの繰返しを気の済むまで書く気もありました。それが、「気づくのが早ければ『三日月クラシック』に優先的に投稿」レベルの問題が増えていき、小さな問題はそれよりハイペースで増えていき、自分のブログでまで「何もかも書いては煩雑だな」と遠慮することになろうとは。

小さいミスが数十あっても、重大なミスが数個出てしまっても、出版業界では現実的に仕方ない事情もあるだろうとは思います。それにしても『ヌレエフ』の翻訳ミスは多すぎるほうに見えます。サガンのエッセイ、ゲルシー・カークランドの自伝、ミック・ジャガーの暴露本など、Meyer-Stableyが引用した文献のうち邦訳が出ている何冊かの該当部分に目を通しましたが、Meyer-Stableyの文と大差ない訳文を見るにつけ、ため息が出ます。

最初は「少ししか記事が書けなさそう」と思っていた『ヌレエフとの密なる時』も、予想を大幅に超える記事数になりました。訳本を見た人なら本の薄さと文字数の少なさは分かるでしょうが、それにしては多い。プティだって、いつも難しい文ばかり書いているわけではないのに。それでも、単語の見間違いはほとんどないし、人名も調べている。『ヌレエフ』よりはよほど丁寧な出来だと思います。でも、原文置き去りの作文は当時からありますね。

今後の課題

  1. 私のブログを頑張って読み漁らなくても、『ヌレエフ』の内容がいかに信用ならないかが簡単に分かるようにする

    原文が意図的になおざりにされているように見えること、その結果としてヌレエフの紹介としてもバレエの紹介としてもはなはだ不満足な本に成り下がっていることは、私が翻訳ミスの多さより強調したい点です。

  2. 原本『Noureev』について気になる部分も書く

    Meyer-Stableyは『ヌレエフ』本文から受ける印象よりはるかに調査を尊重し、理解しやすい文を書き、穏健ですが、それでも基本は芸能記者。スキャンダラスなほうへの誇張はあると思います。それに、原本がSolwayやKavanagh著の伝記のように長大でないことを考えると、間違いの頻度は少なくないかも知れません。

今は意欲とネタが続いていますが、さすがに今年中には一段落して、更新が激減するのでしょうか。先のことは予想が付きませんが、今後ともよろしくお願いします。

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Telperion

Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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