伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

一般人が刑事を雇う?

『ヌレエフ』P.114:
ラランは二人の私服刑事を雇い同行させることを余儀なくされた。
Meyer-Stabley原本:
Larrain doit engager deux détectives privés pour l'accompagner partout.
Telperion訳:
ラランは2人の私立探偵を雇い、至る所で彼に同行させなければならなかった。

ヌレエフが亡命後に最初に契約したクエヴァス・バレエの監督レイモンド・ド・ラランが、KBGの嫌がらせやヌレエフの不安に対して講じた策。

"détective privé"は英語の"private detective"と同様「私立探偵」。仏和辞書に載っている。

新倉真由美の文の不自然な点

現役の刑事を個人が雇うのが可能なほど、1960年代のフランスで治安の悪化と警察の腐敗が激しかったというのは、なさそうな話に思える。

更新履歴

2011/11/9
引用文の背景説明を中心に加筆

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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