伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

イタリアのチュリンジーンズ?

『ヌレエフ』P.136:
チュリンジーンズ
Meyer-Stabley原本:
Turin, Gênes,
Telperion訳:
トリノ、ジェノヴァ

ヌレエフがクエヴァス・バレエのもとで出演した最後の公演地の一部。これらがイタリアの都市だということは直前に書いてある。普通の日本人にどこのことか分かるようにするには、イタリア語の発音で書くべきだろう。トリノもジェノヴァもフランスに近い大都市なので、仏和辞書で見つかることが期待できるし(私の『プログレッシブ仏和辞典第2版』にはどちらもある)、google検索や仏語wikipediaからも判明する。

2つの都市を区切る読点が訳本で抜けているのは、誤植の可能性も捨てきれない。しかしGênesが英語発音らしき「ジーンズ」になっているのは戸惑わされる。フランス語の本に書かれたイタリア都市名がイタリア語らしくもフランス語らしくもないのだから。Gênesのフランス語発音はジェネだと思うが、このほうが「フランス語の発音で書いている」と推測でき、フランス語のイタリア地図を探してみる気になりやすい分、正解にたどり着く可能性がまだ高い。イタリアの都市をフランス語表記の英語発音で書くのは、大半の読者の想定外ではないだろうか。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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