伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

fruste(粗野な)とfrustré(欲求不満の)

『ヌレエフ』P.52:
彼らはすぐにルドルフがいつもイライラしていることに気づいた。
Meyer-Stabley原本:
Ils se rendent vite compte que Rudolf est toujours aussi fruste dans ses manières.
Telperion訳:
彼らはじきにルドルフの態度がいつもこんなに粗野であることに気づいた。

ワガノワでヌレエフと同室になった生徒たちの感想。

frusteは「粗野な、粗削りの」といった意味。人の性格についていうなら、「粗野、ぶっきらぼう、無愛想」といったところだろうか。実際、第6章でもfrusteという言葉はヌレエフ評で出てくるが、これを新倉真由美は「粗野で武骨で」(訳本P.108)と訳している。

「イライラしている」はfrusteの訳語としては合わない。似たスペルのfrustré(失望した、欲求不満の)との混同ではないかと疑っている。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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