伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

驚かせたのは監督ラッセルでなく俳優ヌレエフ

『ヌレエフ』P.236:
ラッセルが彼に自由に演じさせ、その人物像の輪郭を描かせたのには大変驚きました。
Meyer-Stabley原本:
Russel lui laissa une grande liberté d'interprétation et le voir cerner son personnage était tout à fait étonnant.
Telperion訳:
ラッセルは彼に自由に演技をさせました。そして彼が役の輪郭を描くのを見るのは、実に驚くべきことでした。

「ヴァレンティノ」のプロデューサー、アーウィン・ウィンクラーの談話。

2つの文がet(そして)でつながっている。驚くべきだった(était étonnant)のは、etに続く第2文の主語である"le voir cerner son personnage"(彼が彼の役の輪郭を描くのを見ること)。ヌレエフに自由にさせたラッセルではなく、自由にヴァレンティノ像を構築したヌレエフに驚いている。

Meyer-Stableyのミス - 人名のスペル

アーウィン・ウィンクラーは原本ではIrvin Winklerと書かれているが、IrvinでなくIrwinが正しい。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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