伝記『ヌレエフ』の翻訳の検討

『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)と『ヌレエフとの密なる時』(ローラン・プティ著、新倉真由美訳、新風舎)の誤訳と改変。『バッキンガム宮殿の日常生活』(Bertrand Meyer-Stabley著、新倉真由美訳、文園社)の一部も対象

監督の業績になるのはパーティでなく公演

『ヌレエフ』P.265-266:
アントニー・チューダーのようなフランスでは無名の人物を囲むパーティの開催、
Meyer-Stabley原本:
des soirées construites autour de personnalités méconnues en France, comme Antony Tudor,
Telperion訳:
アントニー・チューダーのようにフランスでは真価を認められていない人物を主題にして構成された公演、

ルモンド紙が称えたパリ・オペラ座バレエ監督ヌレエフの業績の一つ。

仏和辞書でsoiréeを引くと、次の意味が載っている。

  1. (日没から就寝までの)夜
  2. 夜のパーティ
  3. 夜の公演

以下に挙げることから、ここでは夜の公演を指すと考えて間違いない。

  • アントニー・チューダーはイギリスの振付家。"autour de ~"は「~の周りで」という意味だが、転じて「~を主題として」という意味もある。
  • 巻末の「ヌレエフがパリ・オペラ座バレエ団に招聘した振付家」リストを見ると、現に1984-1985シーズンでチューダーの4作品が上演されている。
  • バレエ団監督としての業績として、パーティの開催はいかにも場違い。

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Author:Telperion
バレエへの関心が芽生えたのは2011年1月。その翌月に読んだ『ヌレエフ 20世紀バレエの神髄 光と影』は、そんな新参の私から見ても、間違いや意味不明な記述が多すぎました。その原因のほとんどが翻訳のひどさだと気づいたことからブログ開設を思い立ち、今は同じ訳者による邦訳本3冊を取り上げています。詳しくはこのブログでしたいこと 第3版をご覧ください。
フランス語の学習を始めたのは『ヌレエフ』に出会う少し前。まだまだ知識は浅く、至らぬところもあるでしょう。お気づきのことはぜひ知らせてください。リンクはご自由に。

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